COLUMN

コラム

4号特例縮小が既存木造住宅のリフォーム・リノベーションに与える影響とは?

記事作成日2025.02.13

4号特例縮小が既存木造住宅のリフォーム・リノベーションに与える影響とは?

近年、住宅リノベーション市場はますます活発になっています。中古住宅を購入して自分好みにリノベーションする人が増え、持続可能な住まいづくりの選択肢として注目されています。

しかし、2025年4月に施行される改正建築基準法の「4号特例縮小」により、これまで比較的スムーズに進められていた木造住宅のリフォームやリノベーションに影響が出る可能性があります。

「そもそも4号特例って何?」
「リフォームするのに確認申請が必要になるの?」
「コストや工期はどうなるの?」

このような疑問を持つ方も多いでしょう。本記事では、4号特例の基本から縮小の背景、リノベーションへの影響、確認申請の必要・不要のケース、そしてメリット・デメリットまでを詳しく解説します。

今後、木造住宅のリフォーム・リノベーションを考えている方にとって、知っておくべき重要なポイントを分かりやすくまとめました。ぜひ最後までご覧ください!



目次

  1. 1.4号特例とは?
  2. 2.4号特例縮小の背景
  3. 3.既存木造住宅における影響
  4. 4.確認申請が必要なリフォーム・不要なリフォーム
  5. 5.4号特例縮小のメリット・デメリット
  6. 6.影響を最小限に抑えるための解決策
  7. 7.まとめ



1. 4号特例とは?

「4号特例」とは、建築基準法に基づく「建築確認申請」における一部の審査が省略される特例制度のことです。

もともと、規模が比較的小さく構造計算が不要とされる建築物(主に木造2階建て以下の住宅など)について、建築確認申請時の審査が簡略化される仕組みでした。

これにより、設計者の責任のもとで建築が進められ、審査期間が短縮されるメリットがありました。

しかし、2025年4月の建築基準法改正により、4号特例の対象範囲が大幅に縮小されることになりました。



2. 4号特例縮小の背景

4号特例の縮小には、以下のような背景があります。

① 建築物の安全性向上
4号特例のもとでは、耐震性や構造のチェックが省略されていました。そのため、構造的に不十分な建築物が発生するリスクが指摘され、建物の安全性を確保するために見直しが行われました。

② 省エネルギー基準の強化
住宅の断熱性能や省エネルギー性能向上が求められる中で、4号特例の対象建築物では省エネ基準に関する詳細な審査が行われないことがありました。今回の改正により、省エネ基準を厳格に適用できるようになります。

③ 建築士の設計責任の明確化
4号特例のもとでは、建築士の判断で進める部分が多く、設計ミスや確認不足による問題が発生するケースもありました。新たな制度では、設計者の責任を明確にし、適正な設計を確保する狙いがあります。



3. 既存木造住宅における影響

① 確認申請の手続きが増える
増築や大規模改修を行う場合、新たに詳細な図面や構造計算の提出が求められる可能性があります。

② 構造計算が必要になるケースが増える
これまで簡略化されていた構造関係規定の審査が厳格化され、リフォーム時にも構造計算が必要になるケースが増えます。

③ 工期やコストが増加する可能性
確認申請の手続きが増えることで、リフォーム・リノベーションの工期が長くなり、設計費用や施工費用が増える可能性があります。



4. 確認申請が必要なリフォーム・不要なリフォーム

確認申請が必要なリフォーム
以下のような工事を行う場合、確認申請が必要になります。  

増築(例:部屋を増やす、2階を増築する)
主要構造部の変更(耐震補強、柱や梁を撤去・補強する)
・建物の用途変更(住宅を店舗に変更するなど)
・大規模な改修(床面積の50%以上を改修する場合)

確認申請が不要なリフォーム
以下のような工事は、確認申請が不要なケースが多いです。

・内装の変更(壁紙の貼り替え、床材の変更など)
・設備交換(キッチンや浴室のリフォーム)
・断熱改修(断熱材の追加や窓の交換)
・外壁や屋根の塗装



5. 4号特例縮小のメリット・デメリット

メリット
・建物の安全性が向上(耐震性・構造的な問題を事前にチェックできる)
・省エネ基準が確保される(断熱性能やエネルギー効率が向上)
・設計の信頼性が高まる(建築士の責任が明確化される)

デメリット
・手続きが増え、リフォームのハードルが高くなる
工期が長くなる可能性(確認申請や審査の期間が追加される)
コストが増加(構造計算や申請手続きの費用が発生)



6. 影響を最小限に抑えるための解決策

① 事前に建築確認の要否を確認する
すべてのリフォームが確認申請を必要とするわけではありません。自治体や専門家に相談し、適切な手続きを進めることが重要です。

② 構造計算に対応できる設計者・工務店を選ぶ
今後は構造計算が求められるケースが増えるため、構造設計に詳しい建築士や工務店を選ぶとスムーズに手続きが進みます。

③ 省エネ基準を考慮した設計を行う
リノベーション時に断熱材の追加や窓の断熱性能向上などを取り入れることで、新しい基準に対応しやすくなります。

④ 補助金制度を活用する
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」や「子育てグリーン住宅支援事業」など、リフォーム・リノベーションのコスト負担を軽減する補助金を活用することも有効です。



7. まとめ

2025年4月からの4号特例縮小により、既存木造住宅のリフォーム・リノベーションにも影響が及ぶことが予想されます。

特に、確認申請の手続きの増加、構造計算の義務化、工期やコストの増加などが考えられるため、今後のリフォーム・リノベーション計画では慎重な対応が求められます。

事前の確認申請の要否チェック、信頼できる設計者の選定、省エネ基準を考慮した設計、補助金制度の活用といった対策を講じることで、スムーズにリフォーム・リノベーションを進めることが可能です。

これからリノベーションを検討されている方は、ぜひ最新の情報をチェックしながら、計画を進めてみてください!